日本史 論述問題の対策について

鈴木 和裕

論述対策は計画的に!

今回は論述問題の対策について考えてみます。
論述が書けるようになるには、それなりに時間はかかるので、最後にまとめてやるのではなく、他の科目の勉強と並行しながら進めてください。志望大学の過去問は各自、早めに入手してください。

 

日本史論述問題の対策について

論述問題の対策では、原始・古代から近現代までの通史をインプットした後、受験する大学の過去問を使って、数か月かけて論述問題を解く訓練=アウトプットをする必要があります。共通テスト後から国公立二次試験までの約1か月では不十分です。知識があれば書けるわけではありません。また、「日本史は夏から勉強すればいい…」などと言う人もいますが、それは論述対策に関しては論外です。

論述問題の攻略には意外に時間がかかるのです。少なくとも、夏までには基本的なインプットを済ませて、9月以降は本格的に論述対策を始めたいところです。

「共通テストの勉強が先ではないか?」という人もいるでしょう。

確かに共通テストで失敗すると、志望大学が受けられなくなるので、「まず、共通テストで点を取るために知識を固める…」という先生や受験生が多いのは確かです。しかし、日本史に関してそれは当てはまりません。

学習方法は後述しますが、論述問題を解くためには「論述問題に見合った考え方と知識」を身につける必要があります。それは「正しい歴史の理解と知識」と同じものです。

それは論述問題が書けるようになれば、必然的に共通テストも語句記述問題もできるようになるということです。だからこそ、論述先行の学習をすればよいのです。

それでは以下、論述問題の対策についてまとめていきましょう。

 

論述対策はいつごろから始めるか

鈴木 和裕
鈴木 和裕

論述対策は9月には始めよう!
毎週1~2問ずつ,じっくり考えよう!

「論述はいつ頃から始めればいいですか?」

これは受験生によく聞かれることです。結論から言うと「今すぐでもいいですよ」です。ただし、論述問題を解くためには、最低限、原始・古代から近現代までの通史を整理しておく必要があります。

対策を始めるタイミングは「通史が終わったら、すぐに」です。とはいっても、通史を完璧にする必要はありません。論述問題の対策を取りながら知識を完璧にしていきます

時期も大事です。「共通テストが終わってから」では遅いとも言いました。そこで、9月には論述対策を始めてください。志望大学の過去問を使って、9月から12月初旬までの約3ヶ月で論述対策を進めてください。

そうすると、

① 8月までに通史を終える
② 9月~12月初旬まで論述対策中心
③ 12月半~1月初旬が共通テスト対策
④ 共通テスト後から仕上げ

というおおよその計画が立てられると思います。

①の時期に通史を終えるため時代と流れで覚える!日本史B用語』(文英堂)をおススメしておきます。コンパクトに基礎用語がまとまっているので、短期間で通史の整理ができます。

②の時期は、あくまで「論述中心」なのであって、京大の史料問題対策など、受験する大学によっては並行してやっておいた方がいいこともあります。この②から③の過程で、あいまいな知識を完璧にしていきます。そうすれば共通テストの対策で苦労することもないでしょう。

過去問を解くペースは、論述中心の大問を週に1〜2問ぐらいで十分です。具体的な答案のまとめ方、勉強の仕方は後でまとめます。

短期間で一気に10問解く!という気合いの入ったことをする受験生もいますが、おススメはしません。というか、学習効果が低いと言わざるを得ません。

②の時期は、「量より質」です。時間をかけて1問をじっくり考えてください。そして、自分の書いた答案をじっくり検討してください。先生に答案を添削してもらい、問題点を指摘してもらうのが一番いいでしょう。

指摘された問題点に注意しながら次の答案を作成します。1週間に1回、このサイクルを約3ヶ月続けてください。段々と書けるようになっていきます。

2、3日で一気に10問解いても、方法論などで同じような勘違いをしている場合が多く、文章をまとめる能力が身につかないのです。

最初はじっくり答案を考えて、じっくり答案を見直すことです。過去問を無駄に消費してしまわないように!

 

論述問題の考え方

「知っていることを何か書けば部分点がもらえる!」などと安易に考えていませんか?もちろん、それでは論述問題で高得点を取ることはできません。

あくまで「論じ述べること。順序立てて考えを表現すること。」(広辞苑)が論述問題です。一問一答的な知識を適当につなぎ合わせることではありません。

まず、答案をまとめる手順を考えてみましょう。大きく分けると、

  1. 設問の要求を正しく理解する
  2. 答案に書く内容を整理する
  3. 指定された字数・枠内にまとめる

の3段階になります。順番にまとめていきます。

 

設問の要求を正しく理解する

論述問題を考えるうえで、もっとも重要なのが「設問の要求」です。これを取り違えるとまったく違った方向の答案になり、せっかく書いたのに0点という評価を得ることになります。

まず、設問を読んで「主題」と「条件」に切り分けます。「主題」が大きな答案の方向性を決めることになります。その「主題」の内容が多岐に渡る場合、「条件」で答案の内容を絞り込むことになります。

 

例題を見てみましょう。

【例題】
京都大学 2009年 第4問(1)

8世紀から11世紀における国司制度の変遷を,郡司との関連をふまえて述べよ。

「主題」は「8世紀から11世紀における国司制度の変遷」について述べることです。ただ、教科書を見ればわかりますが、国司制度について書くことはたくさんあります。そこで「条件」として「郡司との関連をふまえて」というのがあります。つまり、国司制度の変遷を説明するにあたって、郡司のことについては触れなさい、ということです。

主題]8〜11世紀の国司制度の変遷
条件]郡司との関連をふまえる

少なくとも「国司について知っていることを書け」ではありません。

さらに考えてみましょう。

「8世紀から11世紀」とはどういう時期でしょうか。わかりますか?

8世紀は律令制度ができた頃、奈良時代です。11世紀は前半が摂関政治の全盛期、後半は院政期になります。

言い換えると、この問題は「律令制下の奈良時代から院政期」までの国司制度の変遷について述べる問題だということです。これは設問の要求を整理する一例です。

次に、答案に書く内容の整理をする方法を考えてみましょう。

 

答案に書く内容を整理する

鈴木 和裕

最初は教科書を調べながら,まとめよう!

設問の要求を理解したら、次は答案にまとめる内容を考えなければいけません。模擬試験や本番の試験では、答案の構想をメモして考えを整理します。

最終的には、自分の頭で考えられるようにならなければいけないのですが、知識があいまいな9月ごろに自分の頭だけで考えるというのには無理があります。ところが「知識が足りない!」と言っていては、いつまでたっても論述問題の対策ができません。

そこで、教科書を調べながら答案を作成してください

設問の要求に対して、教科書の該当する箇所を探しましょう。これが的確にできるだけで最初は十分です。慣れないうちは教科書の該当箇所を探すだけでも大変です。

該当箇所を見つけたら、次はそのうちのどの部分をまとめればよいかを考えましょう。その際にじっくり教科書を読んで理解を深めましょう

「設問の要求」=「問い」を考えている時が、教科書の内容を頭に入れやすいタイミングです。

そして、「問い」に対する解答が論述問題に見合った知識であり、その知識を得ることが日本史を正しく理解することなのです。大学で日本史を専門としている先生が作った問題なのですから。

最後に教科書を参考に本番と同じような「構想メモ」を作りましょう。あとはまとめるだけです。

 

指定された字数・枠内にまとめる

「構想メモ」までできれば、あとは手を動かして書くだけです。

一般的に字数・枠に対して「80%以上」と言われています。実際は大学側が採点基準を公開していないのでよくわかりません。模擬試験によっては字数に対して「50%未満」は0点としている場合もあります。

字数の根拠はありませんが、字数が足りないために採点してもらえず「0点」というのは避けたいところです。論述問題には「部分点」があるのですから。

そこで「80%以上書いてあったら採点はしてくれるでしょ!」ということです。例えば京大の場合は「200字以内で書け」なので、「160字以上」は書いておきましょう、ということになります。

 

さいごに

以上の手順を踏まえて答案をまとめてください。最初はなかなか上手くいかず、時間もかかると思います。それでも9月以降は1週間に1回、時間を作ってやってみてください。

「問い」を考えながら教科書をくり返し読むことで知識が定着してきます。知識が定着してくれば、設問の要求を素早く理解できるようになり、教科書を探すのも時間がかからなくなります。

論述に必要な「問い」とその解答をまとめた参考書として日本史の論点』(駿台文庫)があります。過去問に入る前、あるいは過去問演習と並行して利用すればよいでしょう。

書いた答案はできるだけ先生に添削してもらいましょう。

最終的には、解答や解説を見て自己批判ができるようになってほしいのですが、なかなか難しいです。他者の目が入らないと文章は上手く書けるようになりません。これを参考に学習計画を立てて、論述対策を進めてください。