教科書の取扱説明書【教科書で勉強しよう2】

「教科書で勉強しよう1」で書いたように「教科書がもっともよくできた参考書」であることは間違いないのですが、使い方を間違えると学習の効果がありません。

そこで教科書の使い方について、いくつか書いてみたいと思います。もちろん、他にも使い方はあると思いますが、以下の記事を参考にして考えてみてください。

初歩的な知識を入れてから教科書を読む

教科書を読んで、日本史を理解するためには、読む前にある程度の知識を頭に入れておく必要があります。おススメのタイミングとしては、日本史の授業をきいた後で、同じ範囲を復習として読むことです。授業できいた内容が、教科書でどのように説明されているかを確認しながら、理解を深めましょう。

また、授業では噛み砕いた表現をするのが普通ですが、実際の入試問題は「である調」の硬い表現になるので、それに慣れておく必要もあります。要は授業の復習に使うということです。

もう一つ、オススメできる方法があります。比較的薄く、教科書よりも緩やかにまとめられている参考書などで、初歩的な知識を得てから教科書を読むことです。
僕が書いた『時代と流れで覚える!日本史B用語』は、まとめ+文章、空欄補充という形式になっていて、用語を覚えながら、初歩的な知識を頭に入れる形式となっています。「読むだけ」ではなかなか知識は頭に残りません。重要な用語を意識しながら、文章を読み、理解を進めることができます。
「教科書を理解するために必要な知識」があるのです。

時代と流れで覚える! 日本史B用語 (シグマベスト)

時代と流れで覚える! 日本史B用語 (シグマベスト)

  • 作者:鈴木 和裕
  • 出版社:文英堂
  • 発売日: 2015-09-24

「問い」に答えるために教科書を読む

教科書は前から順番に読んでいけば、日本史の理解が進むのでしょうか。

「日本史は物語だ」などと、いかにも「ストーリー」があるかのように言う場合があると思います。全面的に否定する気はありませんが、少なくとも教科書を読んでも、ストーリーはわかりません。そもそも小説とは違い、教科書には原始・古代~近現代までを貫く主題やストーリーなどは存在しないのです。
では、どのような意識で教科書を読めばいいのでしょうか。

教科書を読んで理解を深め、知識を定着させるためには「問い」が必要です。何を理解するために、もっとわかりやすく言えば、何を知りたくて教科書を読んでいるか、ということを意識しながら読む必要があるのです。

東大の山口輝臣先生は『はじめての明治史』(ちくまプリマー新書)のなかで、

教科書というのは、人間が好奇心に基づいて発した疑問に、実はしっかりと答えています。

と言っています。つまり「疑問」に対して「何が知りたいのか」という意識がないと、教科書はなんとなく前から読んでいっても理解できないのです。

そう考えると、教科書は前から読んでいく必要はなく、そのときに知りたいことや理解したいこと、つまり「疑問」=「問い」の答えが書いてある部分だけを、その都度ピックアップして読んでいけばいいのです。

とはいっても、「問い」や「疑問」が常に存在するわけではないでしょう。それが生じるのはどういう時でしょうか。
おそらく、多くの受験生が「問い」を意識するときは、「問題を解いている時」ではないでしょうか。受験勉強における問題とは、主に大学入試の過去問でしょう。

また、その「問い」を集めて日本史の理解を深めることを目的としたのが、僕も著者の一人である『日本史の論点』(駿台文庫)です。論述対策が必要な受験生は、手にとってみてください。

はじめての明治史

はじめての明治史

  • 作者:山口 輝臣
  • 出版社:筑摩書房
  • 発売日: 2018年11月05日

日本史の論点

日本史の論点

  • 作者:塚原哲也/鈴木和裕/高橋哲
  • 出版社:駿台文庫
  • 発売日: 2018年04月1日

問題を解くときに使う

まず「問い」や「疑問」が見つかるタイミングは、問題を解くときでしょう。特に基礎知識を入れた(インプット)後、初めて入試問題を解くと、意外にできないものです。答えがわからない問題を見て悩んでいたところで、できないものはできません。そこで、教科書を見ながら解いていくのです。

このやり方が当てはまるのは、国公立二次試験で主に出題される論述問題です。論述問題は「問い」そのものです。特に知識が定着するまでは、教科書を見ながら「問い」に答えていってください。論述のトレーニングをしながら、日本史の理解を深め、知識を定着させます。

難関私大の問題も、最初は解答を教科書で探しながら解いてもいいと思います。解答を探す過程で教科書を読んでいけば、知識は深まります。その作業をくり返しながら、じょじょに知識を定着させ、最終的に教科書を見なくても、合格点が取れるようになればいいのです。

問題を解いた後に使う

他には、過去問を解いた後に教科書を使います。問題を解いた後、間違った問題や知識に不安のある項目について、教科書を読み直すのです。

赤本や青本などの過去問集には、解説がついていますが、解説は「知識を得るため」のものではなく、「問題の解き方を学ぶ」ものです。
理解を深め、知識を定着させるため、教科書を利用しましょう。

例えば、センター試験や私大の問題には文章正誤問題がありますが、それらの選択肢は教科書の記述が、ほぼそのまま利用されていることも少なくありません。正誤問題の復習を教科書で進めていくことで、正誤問題に使われる内容や表現が、知識としてストックされるのです。

一問一答形式の用語問題集を中心に勉強している受験生には、文章正誤問題を苦手とする人が多いような気がします。「文章を読んで理解する」という訓練をしていないからだと思われます。

教科書でチェックした箇所には、マーカーで線を引くなど、チェックを入れておけばいいでしょう。それによって、頻出内容や苦手な内容も確認できるようになります。

さいごに

今回は教科書についてまとめました。
「教科書は最もよくできた参考書である」とは言いましたが、基本的に「インプット=知識を入れる」作業で役に立つものです。
受験勉強を進めるためには、それ以外に「アウトプット=演習」のための問題集や、用語の意味を調べる用語集などが必要です。それはまた別の記事にまとめたいと思います。

経験上、日本史ができる受験生は教科書をしっかり使いこなしています。「教科書を制する者は、受験日本史を制す」ということで、教科書をうまく利用して勉強してください。