さまざまな参考書が世に出ています。多くの参考書で「入試でよく出る!」などとうたっていますが、日本史に関してはあまり意味はないでしょう。僕の持論で「看板が大げさな店は不味い」というのがあるのですが、それと同じです。
では、一番よい参考書は何か?
それは、高校で使われている教科書です。
ちょっと考えてみれば、当たり前のことです。「店構えや宣伝は地味でも、美味しい店」と言えるのが教科書です。なかなか良さは理解してもらえません。なぜならば、教科書は非常に勉強がしにくく、特に初学者に「教科書を使って日本史を理解しろ」というのは、なかなかキツいものがあります。
そこで、日本史を教科書で勉強したほうがいい理由や、その使い方について考えてみたいと思います。
入試問題は、教科書を基準に作成されている
教科書で勉強した方がいいと言える理由は、入試問題が教科書を基準に出題されていることです。一般的な模擬試験も同様です。高校では教科書を使って授業をすることになっています(タテマエですが…)。そのため入試では、高校のカリキュラムを消化すれば、合格点がとれる問題を出題するのが前提となっているのです。
当たり前のこととも言えますが、受験生が勉強する基準となるものは、教科書でしかありません。これはセンター試験(2021年からは共通テスト)・国公立二次・私大、いずれにも共通して言えることです。市販の参考書を基準に出題する大学はないのです。
日本史を勉強するにあたって、受験生のなかには「入試で出るところを教えてほしい」、「歴史用語をどこまで覚えればいいか」などといった疑問を持つ人もいます。しかし、その答えは簡単です。それは「教科書の内容を頭に入れればよい」ということです。
教科書の内容をしっかり消化したうえで、志望大学の過去問を解いてみれば、教科書をもとに出題されている問題が非常に多いことがよくわかるでしょう。
教科書がもっとも内容がしっかりした参考書
これも当たり前なのですが、教科書は日本史のプロである大学の先生が、それぞれの専門の時代について執筆しています。単純に考えて、学者ではない予備校講師が執筆した参考書のほうがよくできている、ということはないでしょう(笑)
しかも、入試問題を作っているのは大学の先生たちです。どうですか、教科書で勉強するのが妥当な気がしてきたでしょう?
教科書に弱点があるとすれば「わかりにくい」ことです。「内容がしっかりしている」ことと、「わかりやすい」ことはイコールではありません。
また、教科書は「おもしろくない」という難点もあります。多くの人々が、日本史をおもしろいと思える「裏話」のようなものは、書いてありません。そのため教科書で勉強することを避けて、参考書に逃げる受験生が出てくるのです。
しかし先に書いたように、入試問題は教科書の内容を基準に出題されるわけですから、その内容を理解して消化しなければ、日本史で合格点をとることはできません。
では、どうしたらいいのでしょう?
教科書を使うには、ちょっとしたコツがあります。次に、教科書の使い方について考えてみましょう。
教科書をどのように使うか
教科書はどのように使えばいいのでしょうか?まず「前から順番に読んでいって、大事そうなところにマーカーで線を引く」という方法でしょうか。
この方法だと、確かに教科書を読んで勉強した気分にはなるのですが、教科書の内容が頭に残っていないでしょう。また「大事そうなところ」に線を引いていたら、マーカーで1ページ全部を塗りつぶしていた、という笑えないような状態になる人も出てきます。効果的な教科書の使い方とは言えません。
次に考えられるのは、教科書本文の「ゴシック(太字)の用語をマーカーで塗りつぶして、透明の赤シートなどをあてて覚える」という作業でしょうか。
それは最悪な勉強方法です。用語を覚えるなら「用語問題集」の方が優れています。教科書は、用語を覚えるための参考書ではありません。日本史を理解するためのものです。それにマーカーで用語を塗りつぶすのは、空欄補充の形式になっている「書き込み教科書」というものがあるので、無駄な作業です。
いずれにせよ、効果的な教科書の使い方とは言えません。「勉強している気分」になるだけで、やっている割には知識が頭に入っていないでしょう。
先にも書いたように、教科書の難点は難しいことです。初学者が初めて読んで、すべてがわかるようなレベルの内容ではありません。だからこそ、教科書をどのように使うかが重要になってくるのです。
具体的な使い方のヒントは、「教科書で勉強しよう! (2)」で詳しく書きます。