2019年一橋大学、日本史論述問題の解答例

毎年、恒例の一橋大学の日本史の解答例です。
今年は、例年以上に大胆に字数配分をしてみました。

第2問、第3問は過去問の類題があり、過去問をしっかりやっていた受験生は、取り組みやすかったと思います。
「一橋大の入試対策は過去問だ!」というのが、よくわかる問題ですね。

2019年 一橋大 論述問題の解答例

第1問

1大田文。摂関政治期には、中下級貴族が地方で開発領主と結び、上級貴族の権威も借りながら荘園を形成した。院政期には、天皇家や摂関家などが主導し、中下級貴族を媒介して寄進を募って荘園を設立した。そして貴族や寺社が本家・領家となり、開発領主が荘官として現地の管理にあたった。一方で国衙の支配下にある公領も残った。こうしたなか、朝廷は一国平均役などを課すため、国衙に大田文の作成を命じ、荘園・公領を把握した。鎌倉幕府が形成されると、御家人が荘園・公領の地頭に任じられ、承久の乱後には、現地の支配をめぐって地頭と荘園・公領の領主との紛争が拡大した。その解決策として地頭請や下地中分が行われ、しだいに現地の支配権が地頭に移った。2調。3ア絹織物。イ和紙。ウ陶器。4国産奨励。佐賀藩では藩主鍋島直正が中心となり、藩政改革を進めるなか、有田焼の専売制を強化した。萩藩では村田清風が登用され、紙・蝋の専売制を改革した。(400字)
※問3・ウの別解…刀剣。

第2問

1新中間層。大戦景気以降、日本経済が発達して工業化・都市化が進展し、高等教育機関の充実がはかられた。そのなかで大学や専門学校などを卒業し、会社員・銀行員・公務員などのサラリーマンを中心に事務系統の仕事につき、比較的高い収入を得ていた。2文部省の教育統制や画一的な教育方針を批判し、生徒の個性と自主性を尊重する自由教育運動が盛んになるなか、児童の書いた詩・画などを掲載し、生活綴方教育運動に影響を与えたことで、学歴社会の中で子供の教育に熱心な新中間層に支持された。3政治・経済・文化など広い分野について小説や随筆から論文・評論までを合わせて掲載する雑誌のことで、政治・社会思想を広め、大正デモクラシーの風潮を浸透させる役割を果たした。4『改造』。5日本資本主義論争。雑誌『労農』に論文を執筆した労農派と『日本資本主義発達史講座』に論文を発表した講座派との間で、日本資本主義の特質をめぐる論争が行われた。(400字)

第3問

1第二次世界大戦前、明治憲法体制下において、議会は公選議員からなる衆議院と華族や勅選議員からなる貴族院で構成されていた。衆議院議員の選挙資格は性別と納税資格によって制限されており、のちに納税資格は撤廃されたものの、参政権は男性のみであった。さらに緊急勅令の発令権など議会が関与できない天皇大権があり、貴族院が対等な権限を持つなど、衆議院の立法権は制限されていた。第二次世界大戦後、民主化政策のもと、女性の選挙権が認められた。そして、日本国憲法において、天皇は政治権力を持たない象徴とされた。国会は公選制による衆議院と参議院の二院制とされ、国権の最高機関と規定された。2天皇制批判の自由、治安維持法・治安警察法の廃止、政治犯の釈放、特別高等警察の廃止などを内容とするGHQの指令に対し、東久邇宮内閣は実行できないとして辞職した。3天皇の神格化を否定し、GHQの民主化政策に同調して、天皇制の存続をはかった。(400字)