2021年度 共通テスト日本史Bについて~講評と勉強方法~

歌川広重筆『東海道五拾三次』(東京国立博物館所蔵)
「ColBase」収録

2021年度の共通テスト日本史Bの出題について分析します。センター試験のときも毎年分析していましたが、正答率データを分析すると、受験生ができない問題があいまいな感覚ではなく、数字としてはっきりわかります。

その分析から共通テストの対策として見えてくるのは、

  1. センター試験の過去問をしっかり解く
  2. 資料問題に必要以上の時間をかけない
  3. 時期判断の問題を解けるようにする

以上の3点です。

それを踏まえて、共通テスト日本史Bで高得点を取るための勉強方法について考えます。2021年共通テスト日本史Bの難問分析については別の記事で紹介します。

2021年度 本試験(第1日程)の講評

全体を通して

試験が実施される前は、2017年、2018年の試行調査(プレテスト)から、資料問題が増えることが予想されていました。そのうえ、資料読解問題については、センター試験よりも難易度の高いものになるだろうと。

しかし、実際の試験では確かに資料問題が増加したものの、読解で解ける問題については正答率70〜90%の従来のセンター試験同様のレベルでした。資料問題の数が増えただけで、対策の中心にはなりません

一方で、予想していたよりも従来のセンター試験に近いテストになったと思います。受験生の多くが間違える難問も、数が増えた資料読解問題ではなく、従来のセンター型の知識問題でした。このことからセンター試験の過去問をしっかりやれば高得点が取れるということがわかります。

 

資料問題では差がつかない

文字史料・図版・グラフなど資料問題は、32問中14問出題されました。センター日本史Bに比べると明らかに増加しました。そのうち、3分の1ぐらいが正答率60%未満の難問でした。

資料読解のみで解ける問題は正答率80%前後で、従来通りセンター試験の過去問などを解いて資料読解の練習をしておけば間違えることはありません。一方で、難問となっていた資料問題は読解に加えて、知識で考える要素が入った問題であったため、知識不足で解けない受験生が多かったと考えられます。資料読解問題に必要以上に時間を割くことはないでしょう

 

時期を判断する問題で差がつく

センター試験の対策でも一貫して説いてきましたが、やはり「時期判定問題」で差がついたようです。その代表は年代順配列問題です。試行調査ではほぼ見られなかった形式でしたが、個人的には「年代順配列は出る!」と講義で言い続けました。32問中4問出たので、5問前後出題されていたセンター試験とほぼ同じ配分です。

しかも、想定通り、4問中3問は正答率60%を切る難問でした。その他、時期の判断が必要な文章正誤問題が増えていました。資料問題で難問となっていたのは、時期判断の要素が含まれていた問題です。

センター試験同様、「いつの時期のできごとか」を理解することが重要だということです。高得点をめざす受験生はまず年代順配列問題を攻略しましょう。

 

高得点を取るための勉強法

通史を早く終わらせる

できるだけ早く、原始・古代から近現代までの通史を終わらせましょう。過去問をやり出してからが対策の本番です。

学校や塾・予備校の授業に合わせて予習・復習も大事ではありますが、それではどうしても対策が遅れます。自分なりに通史を終わらせて、授業が復習・確認になるようにするのがベストです。

通史を進めると同時に歴史用語をできるだけ覚えてしまいましょう。そのための参考書として僕の著書『時代と流れで覚える!日本史B用語』(文英堂)をおススメします。通史の整理と歴史用語の暗記が同時にできます。共通テストで高得点が取れるだけの用語数も確保できています。

 

センター試験の過去問を解く

通史が一通り終わったら次は過去問です。といっても、共通テストの過去問はまだ1年分しかありません。そこでセンター日本史Bの過去問を利用します。

少なくとも、2021年度の共通テスト日本史は新傾向の問題があったとはいうものの、センター試験と同様のタイプの問題が中心です。センター試験の過去問で十分に高得点を取るための対策ができます

 

間違った問題を分析して弱点を補強

過去問を解いた後は、間違った問題を分析して弱点を補強しましょう。問題を解くことによって何ができないのかという弱点が見えてきます。

間違った問題の歴史用語を覚え直すだけでは高得点は取れません。「なぜ間違ったのか」「何ができなかったのか」をしっかり考えましょう。特に「時期判定問題」には注意です。歴史用語を覚えていても間違う問題だからです。

さらに教科書をチェックすることをおススメします。センター試験でも同様ですが、知識で解く文章正誤問題は教科書の記述を参考に選択肢を作成していると思われます。問題を解いた後、間違った内容について教科書で該当箇所を調べて理解を深めましょう。

以上を参考に満点をめざして勉強してください!