2021年度 共通テスト日本史Bの難問分析 第4問~第6問

歌川広重筆『東海道五拾三次』(東京国立博物館所蔵)
「ColBase」収録


2021年度共通テスト日本史Bの難問分析のうち、第4問〜第6問です。今回は第6問の近現代史が大問全体で70%近くの正答率となっており、センター試験に比べると易問が多かったようです。ただし次年度も同様か、といわれるとそうは思いません。油断は禁物です。

一般的に近現代史は受験生が点を落とすところで、しっかり学習する必要があります。今年度は資料読解の要素が強く、リード文に解答のヒントがあったため、解きやすかったのでしょう。

受験生は過去問を解いた後、間違った問題のチェックをする際の参考にしてください。2021年度共通テスト日本史Bの講評と勉強方法は別の記事でまとめています。

第4問 近世

問題番号18

問2  江戸城本丸御殿は,儀式や儀礼を行う舞台である。なかでも重要なのは,武家諸法度の発布である。3代将軍以降の武家諸法度は,江戸城で諸大名に伝達された。武家諸法度に関して述べた文Ⅰ〜Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,下の①〜⑥のうちから一つ選べ。

Ⅰ  幕府は,大船の建造禁止を解き,武家諸法度を書き改めた。
Ⅱ  幕府は,武家諸法度の第一条の冒頭を,「文武弓馬の道」から「文武忠孝を励まし」に書き改めた。
Ⅲ  幕府は,武家諸法度で,大名に参勤交代を義務づけた。

① Ⅰ―Ⅱ―Ⅲ ② Ⅰ―Ⅲ―Ⅱ
③ Ⅱ―Ⅰ―Ⅲ ④ Ⅱ―Ⅲ―Ⅰ
⑤ Ⅲ―Ⅰ―Ⅱ ⑥ Ⅲ―Ⅱ―Ⅰ

解答⑥

解説

Ⅰの大船の建造禁止を解いたのは幕末の安政の改革の時で、当時の将軍は13代の家定である。ちなみに、大船の建造を禁止したのは、3代将軍家光が発令した武家諸法度である。

Ⅱの「文武忠孝を励まし」に改めたのは、5代将軍綱吉が発令した天和の武家諸法度である。

Ⅲの参勤交代を義務づけたのは、3代将軍家光が発令した寛永の武家諸法度である。

分析

正答率は5割台です。やはり年代順配列問題は正答率が低めです。

Ⅰの時期がやや難しいかとも思いましたが、年代順配列問題にしてはできていた方かと思います。やはり教科書(や参考書など)の順番通りだと、取り組みやすいのでしょうか。

第5問 近代

問題番号22

…しかし,を企てた大阪事件に関与して逮捕,投獄された。…その後,の活動に参加することで社会主義に近づくと,…

問1 空欄 に入る語句の組合せとして正しいものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。

① ア 朝鮮の内政改革 イ 平民社
② ア 朝鮮の内政改革 イ 政教社
③ ア 台湾の支配 イ 平民社
④ ア 台湾の支配 イ 政教社

解答①

解説

「大阪事件に関与して」からは朝鮮の内政改革だとわかる。大阪事件は大井憲太郎らとともに朝鮮の内政改革に介入しようとした事件である。は「社会主義に近づく」から平民社だとわかる。平民社は社会主義者の幸徳秋水らが1903年に設立した。

分析

正答率は5割程度です。

センター試験もそうでしたが、空所補充は必ずしも簡単ではありません。油断は禁物です。

大阪事件はやや細かい知識と思われますが、社会主義団体の平民社は基本事項です。それとも、影山英子がテーマだったのが難問に繋がったのでしょうか。

誤答は②と③に割れています。間違った受験生はまったくわかっていなかったようです。ちなみに、この問題は上位層と中位層の差が大きく開きました。

問題番号24

問3  下線部(b)の学校を新たに設立した理由について,英子は次の史料のように記してる。この史料の内容及び時代背景に関して述べた次ページの文a〜dについて,最も適当なものの組合せを,次ページの①〜④のうちから一つ選べ。

史料
現時一般女子学校の有様を見るに,その学科はいたずらに高尚に走り,そのいわゆる工芸科(注1)なるものも,また優美を旨とし(中略)実際生計の助けとなるものあらず,以て権門勢家の令閨(注2)となる者を養うべきも,中流以下の家政を取るの賢夫人を出すに足らず。(中略)妾(注3)らのひそかに憂慮措くあたわざる所以なり。

(『妾の半生涯』)

(注1) 工芸科:ここでは,主に刺繍や裁縫の技術を教える学科のこと。
(注2) 権門勢家の令閨:権力や勢力のある家の妻の尊称。令夫人。
(注3) 妾:女性の自称のへりくだった言い方。わらわ。

a  史料によれば,英子は新設の学校で,女性に優美な技術を教えたかったと考えられる。
b  史料によれば,英子は新設の学校で,女性の生計の助けになる技術を教えたかったと考えられる。
c  この学校が設立された後で,教育勅語が出され忠君愛国の精神が強調された。
d  この学校が設立された後で,義務教育の期間が4年から6年に延長された。

① a・c ② a・d
③ b・c ④ b・d

解答④

解説

aは誤文。bが正文。史料中「優美を旨とし(中略)実際生計の助けとなるものあらず」「妾らのひそかに憂慮措くあたわざる所以なり」とあり、aの「優美な技術」ではなく、bの「女性の生計の助けになる技術」を教えたかったと読み取れる。

リード文から学校が設立されたのは1901年とわかる。cは誤文。教育勅語が出されたのは1890年代である。dは正文。義務教育が6年となったのは1900年代である。

分析

正答率は5割程度です。

誤答は③に偏っており、資料読解で解答できるa・bの判断ではなく、時期判断が必要なc・dの判断で間違っている受験生が多いです。

西暦何年かがポイントになるように思われるかもしれませんが、近代は10年単位の「年代」で整理しておけば簡単に時期の判断ができます。西暦年に頼って解答しようとすると解ける問題に限界があります。

問題番号25

問4 下線部(c)の文章が書かれた時期の社会に関して述べた次の文X・Yについて,その正誤の組合せとして正しいものを,下の①〜④のうちから一つ選べ。

※リード文より,cの文章が書かれたのは1907年

X  女性解放を唱える新婦人協会が活動していた。
Y  女性が政治集会に参加することは禁止されていた。

① X 正 Y 正 ② X 正 Y 誤
③ X 誤 Y 正 ④ X 誤 Y 誤

解答③

解説

Xは誤文。cの文章が書かれたのは明治時代の末期である。新婦人協会が活動したのは1920年代で大正時代のことである。

Yは正文。女性の政治集会の参加は治安警察法で禁止されていたが、1920年代に改正され、参加が認められるようになった。

分析

正答率は5割程度です。やはり2文正誤には難問が多いです。

誤答は①に偏っています。リード文の「1907年」という西暦年代から「明治時代」か、「大正時代」か、という判断はできなかったのでしょうか。

西暦年を覚えていて役に立つこともありますが、それだけではダメです。「時期区分」というのは「年代暗記」のことではありません。西暦年代を見て「何時代か」ぐらいはわかるようにしておきたいものです。

第6問 近現代

問題番号26

問1  下線部(a)に関連して,明治期の大地主と小作人に関して述べた次の文X・Yについて,その正誤の組合せとして正しいものを,下の①〜④のうちから一つ選べ。

X  大地主は一般的に,小作料を現金で受け取っていた。
Y  小作人の中には,子どもたちを工場に働きに出す者がいた。

① X 正 Y 正 ② X 正 Y 誤
③ X 誤 Y 正 ④ X 誤 Y 誤

解答③

解説

Xは誤文。明治時代、小作料は現金ではなく、現物納であった。

Yは正文。

分析

正答率は4割程度です。これも2文正誤問題です。

誤答は①に偏っています。地主・小作人と小作料の関係はセンター試験でも定番の出題です。センター試験の過去問をしっかりやっていれば解けたはずです。

また過去問を解いていたとしても、間違った問題の処理が適当であれば、意味はありません。

問題番号27

問2  下線部(b)に関連して,1920年代に活動した組織として正しいものを,次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 全国水平社 ② 日本社会党
③ 明六社 ④ 翼賛政治会

解答①

解説

1920年代に活動したのは①の全国水平社である。②日本社会党は1900年代、③明六社は1870年代、④翼賛政治会は1940年代である。

分析

正答率は6割弱です。

空所補充が減ったからでしょうか、語句選択問題が出題されています。誤答はやや②に偏っています。語句選択ですが、時期の判断のみの問題で、正答率が低めであったのもわかります。

問題番号29

問4 下線部(c)に関連して,戦時下の物資の統制に関して述べた次の文X・Yについて,その正誤の組合せとして正しいものを,下の①〜④のうちから一つ選べ。

X  砂糖・マッチなどの消費を制限する切符制が開始された。
Y  国家総動員法にもとづき,価格等統制令が出された。

① X 正 Y 正 ② X 正 Y 誤
③ X 誤 Y 正 ④ X 誤 Y 誤

解答①

解説

X・Yともに正文。

分析

正答率は5割程度です。ともに正文で特に解説することはありません。

誤答は②に偏っています。Yを誤文と判断した受験生が多かったということです。国家総動員法に関する理解ができていなかったのか、それとも価格等統制令を知らなかったか。価格等統制令はセンター試験で頻出だったのですが、これも過去問の処理ができていない受験生が多いということでしょう。

今回は2021年度共通テスト日本史Bの第4問〜第6問の難問を紹介しました。第1問〜第3問は別の記事で紹介しています。