京都大学で合格点をとるために大きなポイントとなるのは、史料(資料)問題と論述問題です。
前回の「入試問題の傾向」をふまえて、今回は「合格点をとるための入試対策」について具体的な勉強方法を考えてみたいと思います。
英語や数学など主要科目の勉強に追われて、日本史まで手が回らないという受験生は多いと思います。しかし、日本史でも確実に合格点を取るためには、できるだけ早く京大日本史の入試対策を始めることです。当たり前のことですが、意外にできない受験生が多いのも現状です。
今回の記事を参考に、主要科目と並行してどのように日本史の勉強を進めるかを考えてみてください。
教科書の内容をインプットする
「入試問題の傾向」でも書いたように、教科書の内容を消化すれば、目標の80点を取るのに知識は十分です。最終的には教科書の内容をすべて消化してください。
ただし、最初から教科書を使いこなして勉強するのはなかなか難しいです。学校の授業をきいたり、問題演習をしたりしながら、最終的に消化できればよいと考えましょう。教科書を使うタイミングを考えないと、教科書を読んでみたものの、内容が頭に残らないということになってしまいます。
夏前までに通史を一通り終えてしまう
後述しますが、京大日本史の対策は誰がなんと言おうと論述対策です。ただ、論述対策を始めるには最低限、原始・古代から近現代までの知識は必要です。
もちろん「教科書の内容を完璧にしてから!」なんて言っていたら、いつまで立っても京大対策は始められません。過去問を解き始めるための準備として、原始・古代から近現代まで日本史の全体像をつかみ、基本的な歴史用語を知っておく必要があるのです。
そこでおススメしておきたいのは、『時代と流れで覚える!日本史B用語』(文英堂)です。コンパクトに通史をまとめているので、1ヶ月もあれば1周できると思います。勉強の隙間時間を上手く使って、夏までに2〜3周して基本的な歴史用語をザッと頭に入れてください。
アウトプットの勉強は論述対策から始める
京大日本史の勉強について、共通テスト(旧センター試験)対策や語句記述問題対策を先にやって、論述問題の対策を後回しにする受験生は少なくありません。そういうアドバイスをする先生もいるようです。それは正しいのでしょうか?
結論から言うと、論述対策を後回しにするのは大きな誤りです!
おそらく、論述対策は知識が完璧になってからという発想でしょう。あるいは、共通テストで点を落とせば京大の受験ができなくなるので、先に共通テストを攻略してから…ということでしょうか。
日本史に関して、2つの理由からそれは当てはまりません。
一つは、論述対策の時間が足りないということです。
論述が書けるようになるまで、3ヶ月ぐらいはかかると思っておいてください。9月から12月初旬ぐらいがその期間です。その後、共通テスト対策にシフトします。「夏前までに通史」というのはそれを計算してのことです。
もう一つは、論述ができている受験生は共通テストでも、語句記述問題でも高得点を上げることができるからです。
それは、論述問題が書けるようになれば、必然的に共通テストも語句記述問題もできるようになるということです。だからこそ、論述先行の勉強をすればよいのです。
ちなみに、経験上、論述問題ができる受験生は必ず語句記述問題ができています。論述問題ができて、語句記述問題ができないという受験生は見たことがありません。
史料(資料)問題は意外に難しい
論述問題が簡単には書けるようにならないのは、考えれば誰でもわかります。アウトプット(過去問など)を始めると、第1問の史料(資料)問題ができないという受験生が出てきます。基本的には歴史理解や知識が身についてくれば、後は史料(資料)と設問にじっくり目を通すだけです。それで、第2問、第3問と同じような感じで解けるはずです。
ただ、それは理想論であって、一筋縄ではいきません。
ある程度論述対策を進めて知識が身についてきたら、早めに史料(資料)問題も解き始めましょう。特に史料(資料)に苦手意識があり、間違いが多い受験生はしっかり対策を取る必要があります。
第2問、第3問の語句記述問題は知識が身についてくればできるので、後回しで構いません。史料(資料)問題は苦手としている場合、攻略に時間がかかるので、意識しておいてください。
さいごに
今回は1年間の計画を立てるための総論です。受験生は各自、この記事を参考に計画的に日本史学習も進めてください。
次回以降、第1問の史料(資料)問題と、第4問の論述対策について、具体的にまとめていきます。