京大の入試対策について考えましょう
一見すると、私大型の語句記述問題で、一問一答的な歴史用語の知識があれば、高得点が取れそうに思えるかもしれません。しかし、史料(資料)問題あり、200字の論述問題ありと高得点を取ろうと思えば、歴史的な理解をふまえてしっかりと日本史を勉強しなければいけません。
京大の傾向分析から勉強方法について数回に渡ってまとめていきたいと思います。今回はまず傾向分析です。
過去問は以下の2つをおススメしておきます。
京都大学の入試問題 大問の構成
下の表で大問の構成を見てみましょう
大問 | 形式 | 小問数 | 配点 | 構成 |
---|---|---|---|---|
第1問 | 史料(資料)問題 | 20問 | 20点 | A,B,Cの史料3つ |
第2問 | 短文問題 | 20問 | 20点 | 短文10,空欄2つずつ |
第3問 | 長文問題 | 30問 | 30点 | A,B,Cの長文3つ |
第4問 | 論述問題 | 2問 | 30点 | 200字以内が2問 |
合計 | 100点 |
語句記述、短文記述、論述の形式で出題されます。そのうえ、論述問題が出題されるので、バランスの良い日本史学習が求められています。共通テストがマーク式なので、京大の二次試験としてはすべて記述問題なのは当然でしょう。この出題形式は毎年変わりません。
第1問 史料(資料)問題
基本的に初見史料(資料)がA・B・Cの3つ、教科書や史料(資料)集など受験生が一般的に使う教材ではあまりみられない史料(資料)が出題されます。求められているのは、事前に史料(資料)を見て覚えていることではなく、歴史的な知識を背景に史料(資料)と設問を読んでその場で処理する能力です。
第2問 短文問題
①〜⑩の数行の短文に空欄2つの形式です。基本事項を語句記述の形式で解答します。教科書の知識が身についているかが求められています。
第3問 長文問題
各時代のテーマ性のある長文がA・B・Cの3つ、空欄補充や下線部設問に、語句記述や短文記述の形式で解答します。第2問と同様、教科書の内容をしっかり勉強していれば解答できる問題が大部分です。
第4問 論述問題
200字以内で解答する問題が2問出題されます。原始・古代から近現代まで時代ごとに出題されます。もちろん、どの時代が出題されるかはわからないので、広く対策をとっておく必要があります。歴史事項の暗記知識で解答できるような内容説明型の問題ではなく、歴史的な理解がないと解答できない問題です。とりあえず、設問に対して知っていることを書けば、得点がもらえるというような単純な問題ではありません。
第1問から第4問までを見るとわかりますが、第2問と第3問は教科書をふまえて知識を身につけておけば対応できます。特に対策を意識する必要はないでしょう。過去問を解く段階で知識の定着をはかってください。
第1問の史料(資料)問題と第4問の論述問題がどのように対策するかが気になるところでしょう。これについては後で丁寧に解説します。
時代・分野について
時代・分野ともに偏りのない出題です!
出題される時代
以下の表は2020年度の出題です。
原始 | 古代 | 中世 | 近世 | 近代 | 現代 | |
---|---|---|---|---|---|---|
小問(記述) | 4 | 21 | 25 | 10 | 6 | 4 |
小問(論述) | 1 | 1 | ||||
配点 | 25点 | 25点 | 25点 | 25点 |
これをみれば一目瞭然です!
小問(記述)だけを見ると、バラツキがあるように見えます。しかし、配点で見ると小問(記述)が1問1点、小問(論述)が1問15点で、原始・古代、中世、近世、近現代の4つに区分して25点ずつ、均等になっています。
結論から言うと、時代によるバラツキはないと考えてよいということです。論述問題で原始や現代も出題されています。穴がないように全ての時代について勉強する必要があるということです。
出題される分野
これも、2020年を例にしてみましょう。
政治 | 社経 | 外交 | 文化 | |
---|---|---|---|---|
小問(記述) | 31 | 6 | 9 | 24 |
小問(論述) | 1 | 1 | ||
配点 | 46点 | 21点 | 9点 | 24点 |
分野については政治史に極端に偏っていて、外交史が異常に少ないです。もちろん、これは今年度の特質であって、毎年のことではありません。確かにここ数年は政治史が多い傾向にあります。だからといって、政治史を重点的に勉強しよう!と言う気はありません。これで論述問題が外交史だったら、バランスが変わります。
すべての分野について満遍なく勉強しておく必要があります。後述しますが、論述問題では、時間の推移という縦のつながりだけでなく、同時代に何があったかという横のつながりも頻出です。分野で偏った勉強をしてはいけません。
また、一般的に受験生が苦手とされる文化史も20〜30%程度は出題され、比較的多いと考えておいてください。
要は高校で使用している教科書の全範囲を勉強しておこうということです。
難易度〜どのぐらいできればよいか〜
以前は教科書レベルを超えるような難問があったり、史料内容を理解して解答しなければいけないような問題があったりと、かなり難問が出題されていました。しかし、近年は第1問史料問題で一問一答的に解答が出せる問題が多くなったり、教科書で十分に確認できる基礎的な内容が中心となり、取り組みやすくなったといえます。特にここ3年は平均点も上がったと思われます。
これは日本史学習で手を抜けるということではなく、比較的高い点での勝負になるため、ミスができなくなったということです。特に語句記述の際、漢字の間違いなどは命取りです。
実際の得点では、第1問から第3問までの語句記述で80%以上の得点、そして第4問の論述問題で60〜70%程度の得点、合計で75点前後の得点は欲しいところです。
ただし、80点前半ぐらいが限界だと思われます。もちろん、90〜100点をめざして必要以上の勉強をする必要はありません。
さいごに
今回は京都大学の日本史の分析をしました。できるだけ早く過去問を入手して、内容を確認してください。そのうえで、学習の方針を決めて取り組んでいきましょう。受験直前にあわてて知識を詰め込んでなんとかなるような問題ではありません。
この分析をふまえて、次回は具体的な対策についてまとめてみたいと思います。
まずは敵を知る!